ヒットするダイレクトメールの企画からデザインまで担当しております。
マイスターサポートの代表島田です。
値引きというと、結局のところ粗利をカットしていくことになります。
その粗利を削らなくても注文を増やすことができる方法について、お話ししたいと思います。
粗利を削らなくてもDMから注文を増やす方法
広告値引きで頑張ってしまう方は多いですよね。
けれどもマーケティングの視点から言いますと、値引きは麻薬そのもの。
一旦始めてしまうと、どんどんエスカレートしていってしまいます。
結局止めることができなくなってしまうのです。
そして値引きというものは、原価から引くわけではありません。
全て利益から引いているものです。
そのため値引きをしてしまうということは、企業の体力をどんどん奪ってしまうということになるわけです。
一方で「値引き以外の特典なんて誰も興味ないだろう」と思ってしまうかもしれませんが、そうとは限りません。
読み手の心理を読んで、それにあった企画を提案する。
それができていれば、原価0円の特典として集客することは可能です。
のちほどお話ししますが、比較的そういう事例は多いです。
同じ値引きDMでも損失を抑える方法
同じ値引きでも仮に1万円の値引きをするなら、1万円くらいの価値のある自社商品をプレゼントする。
その方が仕入れ原価的には有利ですよね。
たとえば一般の方が購入する際には1万円する商品。
そういったものをプレゼントする場合。
そのまま1万円を丸ごと値引きしてプレゼントすると、店側の損失は1万円。
それに対して原価50%で仕入れたプレゼントの場合、店側の損失は5千円で済みます。
単純に1万円札が飛んでいくより、5千円で仕入れて1万円の商品としてプレゼントする方が良いでしょう。
仮に仕入れ原価率20%くらいの商品の場合。
市場では1万円でも2千円の損失で済むわけです。
そう考えると、現金値引きやパーセント値引きはあまり良い作戦とは言えず、おすすめできません。
仮にダイレクトメールのおかげで10件売り上げが増えたとします。
そして10%引きキャンペーンを止めた。
キャンペーンをやめたことによって、売り上げが10件から9件に減った。
たかが1件だとしても損失が大きいのではないでしょうか?
残った利益で考えた場合、9件に減ったとしても現金値引きを止めた方が会社としてはプラスになることが多いと思います。
そういう意味では単純な売上げ比較ではなく、粗利がどれくらい残るか。
将来的な価値も含めて計算していただいた方が良いと思います。
そして値引きの代わりにプレゼントや原価率を下げるとお話しましたが、それ以外にも特典にできることはたくさんあると思います。
何かしらの金銭的なメリットをつけなければいけないという「心の束縛・思い込み」をまず外していただきたい。
金銭的な負担がお互いにないとしても、読み手の心にビビビッとくるものは割とあると思います。
そういうものであれば、原価0円でも構わないと思います。
季節商品などがそれにあたります。
おせち料理や、クリスマスケーキもそうでしょう。
たとえば「優先ご予約・予約確約・先行販売」
というだけでも魅力になるものがたくさんあると思います。
私もクリスマスに子どもがケーキよりもアイスクリームが良いと言うので、アイスクリームの先行販売商品を買います。
くわえて先行販売にシールやノベルティなどの特典がつく。
シールは原価で考えるとそんなに費用はかかっていないと思うのですが、消費者からすると飛びついてしまうわけです。
私の子どもも年齢的には大きい方ですが、それでもやはり魅力があるということです。
金銭的なメリット以外で響くことはとても多いと思います。
あるいはシーズン商品もそうですが、商品によってはその時期に手に入れようと思ったら割増料金になってしまうかもしれないという商品もあります。
そういう商品の割増料金をカットして提供する。
この場合、利益を放棄しているというよりは通常の価格なので割増する必要がない。
その代わり日程調整して後日お渡しする等、さまざまな方法があるかと思います。
割増し料金で手に入れなくて済むというだけでも、消費者側からすると非常に魅力的かもしれません。
「金銭的なメリットがないと人って見てくれないよね」と言われることが多々あります。
しかし、ここは間違わないでほしい部分。
逆に「理由のないただの値引き」も人は関心を持ちません。
「”一時期だけ”・”集中的に”・”特別に”」メリットがあると思えるものなら良いのですが
「常時3割引してるんじゃないの?」と思われると、途端に人はまったく動かなくなります。
実はお客さんが飛びつくのは値引きに対する金銭的なメリットではなく
「このチャンスは逃せない」といった心理的なメリットが一番大きいのです。
つまり、値引き額がたとえゼロでも成果は出せるということ。
何よりも重要なのは、もっともらしい理由です。
メリットそのものの大きさよりも、それに付随する「もっともらしい理由」が大事なのです。
何が言いたいかというと、同じ値引きにしても
「いつでも3割引やってそう」というイメージがついてしまうと、まったく動かない。
例として閉店セールのお店があります。
在庫一掃閉店セールでも10%くらいしか引いてくれない店もあります。
そういうお店でも人は飛びつきます。
逆にいうと他にもさまざまな理由があります。
B反市です。
箱だけ傷があるもので、中身の商品は正当なものですが特別に安価に販売されるものです。
これは5%ほどしか引いてないのに飛びつく。
こういうことも比較的多くあります。
A:値引きはないが特典の理由がはっきりしているもの
B:値引きはあるが理由がないもの。
この2つの広告を比べると、BがAの反応を超えることは案外少ないのです。
つまり「理由+メリットが最大化できるのなら値引きのパーセントが小さくても売れる」ということです。
普段街中をよく観察してもらうとわかると思いますが、こういうことが比較的多いです。
ですので、あまり何十パーセント値引きという値引きの方法は狙わない方が良いかと思います。
つまるところ、ダイレクトメールの特典は必須です。
しかしその場合、必ずしも特典は値引きだけではないということです。
金銭的な負担が0円でも構わないのです。
それよりも、もっともらしい理由をまず生み出すということが重要になってきます。
値引きDMは麻薬と同じ。止める方法は?
「値引き」はやはり麻薬です。
どんどんエスカレートしてしまい、止める手立てがありません。
止められる唯一の方法は麻薬を上回る成果。
快感を得るしか方法はありません。
それには「優秀な広告企画」に尽きると思います。
読み手にとって商品を手にするための大きな理由。
もっともらしい理由が重要です。
そして、そのもっともらしい理由が正しいか間違っているかの判断ができるのは、読み手の立場に立てる人。
つまり作っているあなたしかいません。
いつもお話ししていますが、大工さんと建築士さんの例でたとえると、デザインしてくれる方は大工さんでクリエイティブに作ってくれます。
しかし大工さんとしては、作るためにまず設計図が必要です。
当たる広告企画であったり要素の配置であったりという部分は、設計してから大工さんにお渡しする。
そのようにしなければ、良い広告を作り上げることはなかなかできません。
設計は専門の建築士さんに依頼しないと図面は出来上がらない。
ですので、図面は設計士さんに依頼すると思います。
それと同じように、広告においてもデザインする前に広告企画を一緒に考えてくれるマーケターが必要。
そういう方に頼るという方法もひとつの手です。
今回は以上です。
「値引き地獄にならないDMの作り方」の動画版はこちら。